Physiologyの普及・拡大に向けて-PCIにおけるFFR測定の有用性、AUCなどの観点から-

福岡山王病院 循環器センター/国際医療福祉大学 横井 宏佳先生

近年、Physiology Guide PCIは国内のみならず海外でも重要な領域となってきている。特に米国においてはAUCが浸透し、日本においてもCVITを中心に日本版のAUCを作ろうとする動きがある。CVIT-DEFER RegistryからもPCIの費用対効果の面などで多くの知見が得られた。
冠動脈疾患の診断におけるFFRは広がっているが、治療におけるFFRの活用はまだ十分ではない。これから冠動脈疾患の治療においてもFFRを活用することで、より冠動脈疾患患者の予後を改善できると期待している。ESCで発表されたSYNTAX II studyがその根拠となるが、PhysiologyとImagingを組み合わせることで最適なPCIを行い、多枝病変においてAngio GuideのPCIと比べて予後を優位に改善し、Physiology Guide PCIはCABGに追いついたとも言える。

(個人的には)Imagingにphysiologyを加えることで質の高いEnd Pointを得られると考えている。しかし、PCI手技中に現状のWire Typeの製品でFFRを測定しようとするとWire(治療用PCI wireとプレッシャーワイヤー)の出し入れ操作が必要であり、その分FFR測定の手技が煩雑になる。プレッシャーワイヤーは耐久性にも不足がある。
一方、マイクロカテーテル型のFFR測定システムは治療用PCI wireが対象血管に残っていれば、PCI wireに沿わせてシステムを進めることができ、PCIの仕上がりの確認にも容易にFFRを使用できると考える。IVUSとFFRの組み合わせにより、新たなPCI End Pointの選定ができるのではないかと期待している。
特にアメリカでは多枝病変の患者に一期的にPCIを行う流れになってきているが、日本においても保険診療等のプレッシャーからそのような要求が高まると考える。多枝病変においてMain Lesion治療後に残枝の中等度病変を一期的に治療するのかそれともDeferするのかを判断する際にもマイクロカテーテル型のFFR測定システムは有効である。プレッシャーワイヤーは操作性や多枝病変or複雑な病変での選択性にやや難があり、使い慣れた治療用PCI wireで病変をCrossした後にマイクロカテーテル型のFFR測定システムを用いることで、SpeedyにPCI手技の流れを妨げることなくテンポ良く病変の評価と追加治療、Endpointの設定ができると期待している。

BVS(bioresorbable scaffold, 生体吸収性スキャフォールド)は現状残念ながら安全性に限界があるが、患者の体内に異物を残さないというコンセプトは症例によって必要であり、我々臨床医は大きな期待を寄せている。特に若い患者さん等、我々インターベンション医がStentを入れたくないと思う病変は現実に存在する。
日本ではDCB(Drug-coated balloon)がStent再狭窄だけでなくNativeな病変にも使用できる。そのため我々日本のインターベンション医はDCBを使用してStentを入れずに手技を終わらせる”Nothing to Behind”という治療コンセプトに挑戦することができる。先ずImagingによりそれが可能な病変か判断する。DCB手技においてはlesion preparation=Pre-Balloonの仕上がりが極めて重要であり、Stentを入れずにBalloonだけで手技を終われるかどうかの評価にFFRは有用であると考える。ただBalloonで治療している以上、多少なりとも解離を生じるためFFR測定のためにワイヤー(治療用PCI wireとプレッシャーワイヤー)を出し入れしたくないことも多い。そのような時、マイクロカテーテル型のFFR測定システムを使えば治療用PCI wireを抜かずにそのままFFRを測定し、FFR>0.80であると判定した上でDCBにもっていくことができる。
またDCBはBifurcationにも有効であり、マイクロカテーテル型のFFR測定システムを使えば”細い側枝などStentを入れたくない症例”に対してDCBで終わって良いかを判断できるのではと最近では大きな期待を持っている。
これからはPCI前の診断だけでなく、PCI中の手技のOptimizationにもFFRを活用するという新しい世界をマイクロカテーテル型のFFR測定システムを使って切り開いていきたいと考えている。

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