FRIENDS Live2018 直前インタビュー【大会長 横井宏佳】

福岡山王病院 循環器センター長 横井 宏佳先生

横井:FRIENDS Liveは代表世話人の田中先生(東京医大)と世話人の松尾先生(岐阜ハート)、岩淵先生(琉球大)、横井(福岡山王病院)の4名を中心に、赤阪先生(和医大)、中村正人先生(東邦大橋)に顧問をお願いし、2016年より毎年3月の第一週に開催しています。田中先生は2005年より毎年箱根でFFRを教育する勉強会(FFR塾)を続けておられました。一方、私と岩淵先生は2012年小倉ライブの中に初めてPhysiological PCIライブを導入し、2014年、2015年は福岡山王病院でこのライブを続けておりました。我々はAngioガイドのPCIを長年行ってきましたが、今後はFFRの導入が必要であることを感じ、実臨床の中にどのようにFFRを持ち込むかという視点でライブをはじめました。FFRに関しては知識、経験がありませんでしたので、毎回、FFRに造詣の深い、田中先生、松尾先生に指導に来ていただきました。ライブはテキストでFFRを学ぶよりも、実践的でよく理解ができ、これからFFRを始める九州の参加された先生からは大きな反響を呼びました。田中先生より、座学を中心に行ってきた箱根FFR塾とライブを中心に行ってき福岡Physiological PCIライブを合体して、全国の先生がアクセスしやすい、東京で新しいライブを開催しないかとのご提案をいただき、FRIENDS Liveが生まれました。FRIENDSの言葉には2つの会がひとつになる思いを込めておりますが、AngioガイドPCIとFFRの融合、すなわち形態と機能の融合という意味も含めています

横井:FRIENDS Liveは前述の如く、座学とライブを合体したものです。1日目の3月2日(金)は座学を中心にFFRが基礎から学べるような企画で構成しています。今年は海外からお招きする4名の先生の特別講演も1日目に含まれており、スペインからお越しのEscaned先生からは2017年に発表されたPhysiological PCIの領域において極めて重要な2つの大規模試験についてお話をいただきます。ひとつはESC2017で発表されたSYNTAX-II試験です。Escaned先生がPIをされていますが、SYNTAX-IのAngioガイドPCIの予後を大きく改善し、CABGに大きく近づいたことは、創始者グルンチッヒの夢を現実にする治療戦略であり、大変インパクトがありました。この治療戦略をどのように臨床現場に外挿するのかPIの先生から話を聞けることは大変有意義であると思います。またACC2017で発表されたDEFINE-FLAIR試験は薬物負荷の必要のないiFRとFFRを比較した試験で、よりPhysiological PCIの実践が行いやすくなったと思いますが、実際にどのようにiFRとFFRを使い分けているのか、臨床経験豊富なCo.PIであるEscaned先生から話を聞けることも意義あることと思います。
韓国からはKoo先生とNam先生をお招きしています。韓国はPhysiological PCIが大変進んでいる国であり、様々な臨床研究が行われています。Koo先生からは3VD-FFRとFFR-CTの話を、Nam先生からは多枝病変、ACSに対するPhysiological PCIの話をいただきます。また、2日目にはもうひとりの海外の先生としてORBITA試験のPIである、Al-Lamee先生よりイギリスからWEBで参加いただきます。TCT2017で発表されたORBITA試験の結果は安定冠動脈疾患に対するPCIの位置づけを考えさせられる内容でした。Sham試験を実行するのにどのようなご苦労があったのか、本試験の結果をどのように臨床現場に外挿するべきとお考えなのか、直接お話を聞ける良い機会と思います。今回、急なお願いを快く引き受けていただきました。試験結果を日本の先生と是非とも共有したいとのことです。
あと、1日目はこの他にもOMTを究めるセッション(DAPTとPCSK-9)、Debateセッション、産官学で行うTHMも予定しております。
他にも通常のGWとは異なるプレッシャーワイヤーの操作を学ぶシュミレータートレーニング、心臓核医学の読影技術を学ぶ、読影道場など教育的コンテンツも含まれています。
2日目はライブを通じてPhysiological PCIを学んでいただく企画となっております。

横井:2日目に5例の症例を東京医大八王子医療センターから予定しています。すべてのライブを十分な時間をとり、安定冠動脈疾患に対する虚血評価をどのようなプロセスで行うのかを学んでいただきたいと思います。本年4月より中医協の保険改訂で安定冠動脈疾患に対するPCI施行時に虚血評価が義務付けられることになりました。虚血評価のされていないPCIは保険が支払われなくなることになります。日本版AUCの開始といっても良いと思います。運動負荷試験、心臓核医学検査、FFR-CT(保険未承認)、FFR/iFRのいずれを用いて虚血評価を行うのか。症例を通じて学んでいただければと思います。1例目はこれからFFRを始める先生のために、田中先生が基本的なことを、ライブを通じてお見せします。2例目はiFRを用いてTandem病変に対してPCIをどのように行うかを議論します。術者は岐阜ハートセンターの川瀬先生にお願いしています。3例目はPost Stent FFRについてマイクロカテ型のFFRシステムを用いて、其の臨床的意義を含めて議論したいと思います。術者は琉球大学の岩淵先生にお願いしています。4例目、5例目は複雑病変(多枝病変)に対してFFRを用いたPCIの実際を議論したいと思います。術者は心臓血管研究所の松野先生と田中先生にお願いしています。今年は世話人以外にこれから日本のPhysiological PCIを牽引していただく川瀬先生と松野先生に術者をお願いしています。

横井:虚血診断のプロセス、FFR/iFRを用いたPCIに特化したライブコースであり、一症例ごとに十分に時間をかけて、安定冠動脈疾患に対する適切なPCIを学ぶコースとなっています。壇上にはPCIの経験豊富な医師のみならず、心臓核医学に造詣の深い先生も、座長、コメンテータに入っていただいています。このようなライブは他にはありません。4月より中医協の保険改訂が始まる、今こそ、安定冠動脈疾患に対するPCIの正しい知識と技術を学ぶことができる唯一のライブコースと思います。

横井:PCIの経験が少ないが今後診断でFFR/iFRを始める若手医師、アンギオガイドのPCIの経験はあるが今後FFR/iFRガイドのPCIに挑戦しようと思っている中堅医師、経験はすでに豊富であるがさらに最新の情報を知りたい医師など、様々なレベルに応じたプログラムが作成されており、皆が学べるようになっております。また、部門長クラスの方には4月からの保険改訂で安定冠動脈疾患に対するPCIがどうなるのか大変気になっているかと思いますが、最新動向をお伝えすることができると思います。また、コメディカルの方にもFFR/iFRを学んでいただく必要があり、コメディカルに特化した教育的な企画を用意しています。

横井:2月7日の中医協よりの通達で本年4月より安定冠動脈疾患に対するPCIの際に、従来の75%以上の狭窄に加えて、原則として、機能虚血診断が保険算定に義務付けられることになりました。厚生労働省科学研究費で行われた15000例の安定冠動脈疾患に対するPCIの分析でFFRを含めた術前機能虚血診断が38%にしか行われていないこと、FFRを用いた虚血診断を行うと40%に治療戦略が変わることより(CVIT-DEFER)、昨年11月より中医協で議論され、4月からの実践が決まったとのことです。2009年より米国で開始されたAUCがいよいよ日本でも開始されるという状況です。国は2025年が近づく中で、医療の適正化を求めており、その流れで今回の改訂が行われたと理解しています。

横井:今回のTHMはこの、4月から開始される安定冠動脈疾患に対するPCIの保険改訂情報を皆さんと共有し、この改訂の背景にあるものを読み解き、PCIの未来のために、我々が今後どのような行動を取るべきかを議論したいと思います。今後、我が国の医療保険財政動向を無視してPCIを行うことはできません。一方で現場にはイノベーションが必要です。医療経済の観点からもイノベーションが求められ、費用対効果という新しい指標が注目されています。どのような虚血評価を行いどのようなPCIを安定冠動脈疾患患者に行うことが、費用対効果として最適なのか?国は費用対効果の良い、イノベーテイブな薬剤、機器、手技に対しては医療費をあげる方針を打ち出しています。そのためには我々はAUCに基づく適切なPCIを行い、その予後が改善するReal World Dataを集積する必要があるのではないでしょうか。今回の改訂はその第一歩が始まったと捉えるべきではないでしょうか。ここで、現場が国の意図を読み間違えると、デバイスの価格が下がり続ける我が国のPCIはさらに厳しい状況に陥る事が危惧されます。今回のTHMはこのようなところを産官学で共有したいと思います。

横井:日本のイメージングガイドのPCIが普及したのは間違えなくコメディカルの方々の日々の研鑽のおかげです。Physiological PCIの実践、普及にもコメディカルの方々の協力が不可欠です。是非ともイメージングと同じように積極的に学んでいただき、医師をリードしていただければと思います。1日目は座学、2日目はコメディカルのみの裏ライブを用意しておりますので、普段聞けないことも質問し、深く学んでいただければと思います。

横井:41年目のPCIは大きな節目を迎えています。これまではデバイスの改良により成績を改善するプロセス・イノベーションでPCIはイノベーションを続けてきましたが、PCIが成熟し、取り巻く医療財政が厳しくなるなかで、これからはプロセス・イノベーションでイノベーションを続けていかねばなりません。このプロセス・イノベーションの先頭にあるものがFFR/iFRを用いたPhysiological PCIの実践です。FRIENDSライブに参加されれば、過去の経歴を問わず、等しく知識と技術を身につけることができ、明日の臨床に持ち帰ることができます。患者さんに最適な治療を何処よりも早く提供するために是非ともFRIENDS Liveに参加いただき、異なる仕方で新結合(イノベーション)を続けていただければと思います。今からでも遅くはありません。奮ってご参加ください。

東京で3月にお待ちしています。

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