筑波メディカルセンター病院 仁科 秀崇 先生
DEFINE-FLAIRにおいて示唆された iFR(vs. FFR)の有用性を、自施設での症例を基に考察
1.iFRガイドで治療戦略を決定すると血行再建は少なくなるが安全である。
DEFINE FLAIR studyにおいてiFR guide とFFR guideを比較した場合にiFR guideで治療戦略を決定した群の方がPCIを延期して薬物治療となる患者は多くなるが、1年予後の成績は非劣性であった。より少ない侵襲的手技で同等の予後が得られるということは臨床上非常に意義があり、両studyからの重要なメッセージと考えられる。1,2
臨床でFFRとiFRの不一致を経験し、治療方法の選択に迷うことは決してまれではない。Cookらは301症例、567病変の冠血流量をiFR/FFR の一致/ 不一致に分けて検討しているが、それによるとFFRがnegativeでiFRがpositiveな病変(FFR-/iFR+)では両者がpositiveである病変(FFR+/iFR+)と同等に冠血流予備能(Coronary Flow Reserve; CFR) が低下している一方で、FFRがpositive、iFR がnegative(FFR+/iFR-)な群では両者がネガティブ(FFR-/iFR-)、あるいは血管造影上狭窄を有さない群(unobstructed)と同等に、CFRは良好に維持されていた。CFRが良好な症例では長期予後が良好であることは複数のstudyで示されており、この機序がDEFINE FLAIR,iFR Swedeheart においてiFR群で血行再建が少なくなるにもかかわらず1年後の予後が同等であったことの一因である可能性が考えられる。3
LAD近位部に中等度狭窄のある症例。iFR:0.95、FFR:0.77と値が不一致であり、以前であればiFRの診断能が否定的に捉えられるようなケース。CFRを相対的に見る心筋血流SPECTで、LAD領域に虚血が無い事を確認、iFR(-)とあわせて、DEFER。1、2年後のフォローアップにおいても、SPECTはネガティブで、血行再建には至っていない。
2. ACS症例において、iFRでのDEFER 症例はFFRでのDEFER 症例と比較してより安全である可能性がある。
全体をみるとACS群はSCD群に比較して有意に予後が悪かった。iFR 群とFFR 群のACS群とSCD群を比較するとFFRに基づいてDEFERされた群ではACS群のイベントはSCD群に比して高く、ACSにおけるFFRに基づいたDEFERには注意を要することが示唆された。一方でiFRに基づいてDEFERされた群においてはACSとSCD群間にイベントの差は認められなかった。
参考文献
1. Davies JE, et al. Use of the instantaneous wave-free ratio or fractional ow reserve in PCI. N Engl J Med 2017; 376:1824-18034.
2. Götberg M, et.al. Instantaneous wave-free ratio versus fractional ow reserve to guide PCI. N Engl J Med 2017; 376:1813-1823.
3. Cook C, et al. JACC: Cardiovascular Interventions. 2017;10:2514-2524.
4. Hakeem A, et al. J Am Coll Cardiol 2016; 68: 1181–91.,
5. Masrani Mehta et al. J Am Heart Assoc 2015; 4: e002172.
6. Escaned J, et al. EuroPCR 2017.
7. Escaned J and Serruys PW eds., 2015, Coronary stenosis: imaging, structure and physiology, Retrieved, Sep. 2017, https://www.pcronline.com/eurointervention/textbook/shop/articles/?article_id=1.
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