株式会社 フィリップス・ジャパン

座談会企画:Phisiology Today x FRIENDS Live

Topic 1
“Recent update of FLAIR/iFR study” (Dr. Justin Davies’s point of view for Resting index)
Topic 2
“Trend of Physiology Today (Japan and Global)”
Topic 3
“Future / next step of Physiology guided PCI”
Chair Nobuhiro Tanaka Tokyo Medical University Hachioji Medical Center
Discussant Justin Davies Imperial College London
Discussant Masashi Iwabuchi University of the Ryukyus
Discussant Hitoshi Matsuo Gifu Heart Center
Discussant Hiroyoshi Yokoi Fukuoka Sanno Hospital

ディスカッションメンバー

[ 座長 ]
木村 剛(京都大学)

[コメンテーター]
松尾 仁司(岐阜ハートセンター)

[コメンテーター]
塩野 泰紹(和歌山県立医科大学)

iFR(instantaneous wave-free ratio)

和歌山県立医科大学 循環器内科 1) Imperial College London2)
塩野 泰紹 1,2) 赤阪 隆史 1)

FFRとiFR

冠内圧測定に基づいた侵襲的心筋虚血診断法であるFractional flow reserve(FFR)は、その導入から現在まで長い歴史があり、ガイドラインでも大きく取り上げられているため広く認知されている。一方で、instantaneous wave-free ratio(iFR)は近年導入された概念であまり知らない方も多いのではないだろうか?ご存知でもいずれもプレッシャーワイヤーを用いた冠内圧の指標でFFRとの類似点も多く、単に薬剤投与しなくても測れるFFRくらいの認識かもしれない。そこで、iFRについて概説する。

iFRとは

iFRはFFRと同じく冠内圧測定に基づいた冠動脈狭窄の血行動態的評価法で2012年にイギリスのJustin Daviesらにより提唱された新しい虚血診断法である。FFRと異なる点は、薬物による心筋最大充血の誘発を必要とせず、安静時の冠内圧に基づいていることである。ただしiFRも単に安静時における狭窄前後の冠内圧の比とは異なり、その理解にはiFRに関する冠循環生理の知識が必要である。冠循環の自動調節能が冠血管抵抗を変化させることで調節されていることは先に記載したが、冠血管抵抗は一心拍中にも常に変化している。そして拡張中期以降に冠拡張薬を投与しなくても冠血管抵抗が一定かつ十分低下するwave-free periodと呼ばれる時相が存在することが証明されている(図1)。つまりこのwave-free periodでは、FFRにおける心筋最大充血時と同じように冠内圧と冠血流量の直線相関が成立する。iFRはこの特性を利用した虚血診断法であり、FFR同様に冠内圧から冠血流を評価する手法である(1)。

iFR測定の実際はFFRと同様にプレッシャーワイヤーを用いて、安静時における狭窄遠位部圧(Pd)とがイディングカテーテルで狭窄近位部圧(Pa)を同時測定する。記録されたデータからコンピュータによる自動解析でwave-free periodの圧データが抽出されiFRが算出される(iFR=Pd wave-free period/Pa wave-free period)(図2)。

iFRはFFRと同じく理論上は0~1.0の値をとり、正常冠動脈では1.0となる。iFRの心筋虚血のカットオフ値は複数の試験がFFRとの比較により求めており概ね0.89と報告されている。iFRの虚血診断能に関してはRESOLVE試験が感度78.9%、特異度82.4%、陽性的中率85.2%、陰性的中率73.3%、診断精度80.4%と報告している(2)。前述のFFRの診断精度に比較すると低い印象を受けるが、その理由はiFRの診断精度自体よりも、試験デザインに起因するところが大きい。つまりFFRをゴールドスタンダードとしてiFRの診断精度を検証する試験ではFFRに勝る診断精度示すことは理論上不可能である。そこで他の虚血診断法(Coronary flow reserve=CFR、hyperemic stenosis resistance=HSR、心筋シンチグラフィなど)をリファレンスに用いてiFRとFFRの診断精度を比較する試験が実施されており、それらの多くはiFRとFFRの心筋虚血診断精度は同等で、むしろCFRなど一部の比較においてはiFRの方が診断精度が高いことを示した報告もある(3-5)。

図1:iFRを理解するための冠循環生理
A拡張期の後半75%の部分にwave-free periodと呼ばれる時相が存在する。
Bこの時相においては、冠血管抵抗は一定かつ十分低下しているため冠内圧と冠血流量の間に直線相関が成立する。

図2:iFR計測の実際
安静時にプレッシャーワイヤーによって狭窄遠位部圧(Pd)を、がイディングカテーテルによって狭窄の近位部圧(Pa)を同時測定する。コンピュータにより自動的にwave-free periodの圧が抽出されそれらの比からiFRが算出される。

Reference

1.JAmCollCardiol.
2012;59:1392-402.
2.JAmCollCardiol.2014;63:1253-61.
3.JAmCollCardiol.2013;61:1409-20.
4.EuroIntervention2015Dec;11(8):914-
25.
5.CircCardiovascInterv2014;7:492-502.

iFR関連文献、詳細情報はこちらからどうぞ

iFRに関する詳細情報は(株)フィリップス・ジャパン公式webサイトにも掲載しております。是非ご参照下さい。

新着記事のご紹介

FRIENDS Live 2019

共催:株式会社フィリップス・ジャパン
The Future: Next step of research in physiological fields
日程・会場:2019年3月1日(金) 10:30〜11:30 B会場

座長:
中村 正人 (東邦大学医療センター大橋病院)
山科 章 (東京医科大学病院)

演者:
1.Coronary microcirculation by PET
Nils P. Johnson (McGovern Medical School at UTHealth)

2.Prediction of plaque rupture by CT
大竹 寛雅 (神戸大学)

3.AI for coronary intervention
Justin Davies (Imperial College London)

FRIENDS Live 2019 共催ライブ

共催:株式会社フィリップス・ジャパン
Syntax2 strategy in multivessel disease
日程・会場:2019年3月2日(土) 9:00〜10:15 A会場
ライブ (中継:岐阜ハートセンター)

オペレーター:
松尾 仁司 (岐阜ハートセンター)
座長:
岩淵 成志 (琉球大学)
上妻 謙 (帝京大学)
中田 智明 (函館五稜郭病院)

コメンテーター:
及川 裕二 (心臓血管研究所付属病院)
塩野 泰紹 (和歌山県立医科大学)
園田 信成 (産業医科大学)
辻田 賢一 (熊本大学)
藤田 博 (京都第二赤十字病院)

FRIENDS Live 2019 ポスター発表内特別セッション

共催:株式会社フィリップス・ジャパン
Justin Davies先生に聞く!『目からうろこのPhysiologyコーナー』
日程・会場:2019年3月1日(金) 11:30〜11:55 ホワイエ

iFRの生みの親であるJustin Davies先生とホワイエにてオープンディスカッションを行います。
Physiologyに関して日本の先生方が抱えていらっしゃる疑問に回答するQ&Aセッションや
臨床上のTips & Tricks・最新エビデンスや論文の解釈・医療分野におけるAI活用状況などのFree Talkingを行う企画です。

回答者:
Justin Davies (Imperial College London)

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